東京での消化器病関連学会での教育講演で肥満の外科的な治療の話もありました。
歴史的には肥満手術として1966年 MASONにより胃バイパス術が開始されたのがはじまりだそうです。胃の中にバルーン、風船みたいなものを留置する方法(内視鏡的胃内バルーン留置術)が1980年代から海外では主に施行されており、比較的安全に施行されているようです。2015年現在ではアメリカでは胃内バルーン留置術の治療対象基準はBMI30-40の肥満の方が対象になっているようです。2009年時点でこの療法で過剰体重減少率は32%と効果がみられるとのことでした。日本でも年間20例施行していて平均10Kg体重が減少、バルーン抜去後も+2KGぐらいの変動でおさまっていたようです。他の方法では内視鏡的十二指腸ー空調バイパススリープがありますが、出血のリスクが高すぎて承認されておりません。
世界的には2013年46万例 アジアでも1000例以上の肥満外科手術が施行されているそうです。日本では300例程度と他国に比べると外科的手術は少ないとのことです。日本では1982年に川村先生が手術開始。2004年に内視鏡的胃内バルーン留置術が始まったそうです。2000年から日本でも腹腔鏡下胃縮小手術(スリープ状胃切除:約36万円)が施行されており、250例の経験があるようです。2014年日本でもが保険適応となったようです。しかし施行するにあたっての施設基準が厳しく、また5万円の赤字?もあり、なかなか手術件数も多くはないようです。減量効果は世界的には4万例以上の調査で5年以上効果あり、糖尿病・高血圧等生活習慣病も改善している結果がでています。肥満治療の効果としては内視鏡手術より外科手術の方がよいそうです。腹腔鏡下スリープバイパス術は糖尿病を軽快させる効果はあるものの、副作用があり保険適応されておりません。
現在肥満治療外科手術は言葉としてメタボリックサージェリー(サージェリーは外科手術)といわれ、特に2型糖尿病患者のために施行することが多く、減量する前から血糖コントロールの効果がでてきます。アメリカにおいては肥満患者において手術がなされることがおおいようです。
2013年以降アメリカで糖尿病患者での肥満外科治療の大規模臨床試験が行われ、Diarem scoreなるものが提唱されているようです。年齢 BMI CPR 罹病期間 ABCDスコア、(詳細は不明ですが)から肥満外科手術での糖尿病への効果を調べていくそうです。BMI>35あれば現在肥満外科の適応になるようです。最近2種類の胃内視鏡バルーン手術がアメリカで承認されており、今後も進化していくようです。日本では想像できないくらいの肥満が存在するアメリカでは切実な問題だと思われます。
手術をしなければいけなくなる前に肥満を阻止すべく、当院では食養生(分子整合栄養医学)、運動(ワンコインフィットネス) マインドコーチング等を駆使して対処しております。しかし肥満になってからでは効果は難しいのが現状です。
尚、内視鏡的=胃カメラ 外科的=腹腔鏡 という解釈です。